SHEIN(シーイン)はその圧倒的な低価格と多彩な商品展開で、世界中の消費者に人気がありますが、最近はその背後に潜む深刻な問題が浮き彫りになっています。
特に、発がん性物質の検出や情報漏洩のリスクが報告されており、消費者の安全性やプライバシーに対する懸念が高まっています。
本記事では、SHEINの製品に含まれる有害物質や、情報管理の不備について詳しく掘り下げ、これらの問題がもたらす影響について考察します。
SHEIN(シーイン)について
SHEIN(シーイン)は、中国発のオンラインファストファッションブランドで、世界220ヵ国以上で展開しています。
特徴的なのは、実店舗を持たず、完全にオンラインで販売している点です。
さらに、少量多品種を提供するために、最低ロットが100単位で設定されています。
また、影響力のあるインフルエンサーよりも、フォロワー数が少ないものの親しみやすい一般の消費者を積極的に起用する販売戦略が特徴です。
SHEINが低価格で多くの商品を提供できるのは、独自の製造体制によるものです。
自社工場を持たず、約300~400の主要サプライヤーと1,000以上の協力サプライヤーと提携し、広範なサプライチェーンを築くことで、多品目を少量生産することを実現しています。
SHEINのリスクと懸念
SHEINに対しては、以下のようなリスクや懸念が指摘されています。
⚫︎製品の安全性に疑問がある
⚫︎情報公開が不十分
⚫︎多数のサプライチェーンに個人情報が共有される可能性がある
⚫︎ウイグル人の強制労働に関与しているという疑惑がある
発がん性物質の検出
最近の調査で、SHEINの商品から発がん性物質が検出されたことが報告されています。
2024年6月から7月にかけて、ソウル市がSHEINなどの中国系eコマースサイトで販売されている衣類や化粧品を検査しました。
結果、SHEINの女性用パンツからは発がん性物質「アリールアミン」が韓国の基準値の2.9倍を超える濃度で検出されました。
アリールアミンは、膀胱がんのリスクを高めるとされています。
さらに、2024年7月に水着や浮き輪などの水遊び用具を検査したところ、SHEINの浮き輪からは基準値の218.5倍、ビーチボールからは148倍の発がん性物質が確認されました。
また、幼児向けの衣類からも有害な化学物質が検出され、EUの規制基準を超えていることが判明しました。
SHEIN(シーイン)のスマホケースに関して、発がん性物質が含まれているとの報告は現時点では確認されていません。
これまでのところ、スマホケースに関する具体的な健康リスクの指摘はありませんが、製品の安全性に関しては、引き続き慎重に確認することが重要です。
情報開示とプライバシーの問題
SHEINは情報開示が不十分であると批判されています。
ブルームバーグによると、SHEINの時価総額は1,000億ドル(約12.4兆円)とされており、H&MやZARAの合計時価総額を超えているにもかかわらず、適切な情報開示が行われていない点が問題視されています。
イギリスでは、SHEINが企業登記の義務に違反し、実質的な所有者の情報を適切に記載していないことが指摘されています。
英国会社法では、企業の重要な支配者を登記する義務がありますが、SHEINはシンガポールの企業を所有者として記載しています。
個人情報の監視リスク
中国の「反スパイ法」により、SHEINを利用することで中国政府が個人情報を監視するリスクがあります。
反スパイ法は国家の安全を守るために強化されており、広範な情報が監視対象となる可能性があります。
強制労働の疑惑
SHEINはウイグル人の強制労働に関与しているとの疑いがかけられています。
シカゴの人権団体がSHEINのボイコットを呼びかけた一方で、中国政府は新疆ウイグル自治区での強制労働を否定しており、SHEINもこの疑惑を否定しています。
ただし、SHEINの商品には新疆綿が使用されていることが確認されており、これにより米国では規制がかけられています。
まとめ
SHEIN(シーイン)は、その低価格と豊富な商品ラインで人気を集めていますが、発がん性物質の検出や情報漏洩のリスクなど、深刻な問題も浮上しています。
最近の調査では、SHEINの製品から発がん性物質が検出され、また、個人情報が複数のサプライチェーンに渡って漏洩する懸念も指摘されています。
さらに、情報公開の不十分さや強制労働の疑惑も問題視されており、消費者はそのリスクを十分に理解し、賢明な判断が求められています。