京都国際高校の校歌が甲子園で批判を受けた理由について、興味深い背景があります。
同校の校歌は朝鮮語で歌われており、これは学校の設立当初からの伝統を反映しています。
しかし、最近の甲子園出場時に、その校歌が注目され、批判を呼ぶこととなりました。
このブログでは、校歌の歴史的背景や、批判の内容、そしてその影響について詳しく掘り下げていきます。
京都国際高校の概要と歴史
京都国際高校は、1947年に設立された私立の高等学校で、京都市伏見区に位置しています。
設立当初から、朝鮮半島との深い関わりがあり、主に在日朝鮮人の子どもたちのために安心して学べる環境を提供することを目的に作られました。
しかし、現在では日本人や他国籍の生徒も在籍しており、多様なバックグラウンドを持つ学生が集う国際的な教育機関へと成長しています。
この学校の教育方針は、多文化共生と国際理解を重視し、特に朝鮮文化や言語の保護と継承に力を入れています。
校歌が朝鮮語で歌われているのも、その理念を反映したものです。
生徒たちは、自己のルーツを理解し、他者の文化を尊重する心を育むことが期待されています。
進学サポートも充実しており、国内外の大学への進学を目指す生徒たちには手厚い支援が行われています。
語学教育も盛んで、英語に加えて朝鮮語やその他の外国語を学ぶ環境が整っています。
学業だけでなく、クラブ活動やボランティア活動も活発で、スポーツや文化、芸術など、多彩なクラブが存在します。
生徒たちは、自分の興味や特技を生かして積極的に参加し、地域や国際的な交流も通じて成長しています。
京都国際高校の沿革
この学校の歴史は1947年に開校された京都朝鮮中学に始まります。
1951年には「東邦学院」を設立し、「東邦学院中学校」と改称しました。
1958年には「京都韓国学園」を設立し、京都府知事から認可を受けて「京都韓国中学」となりました。
その後、1961年と1965年にはそれぞれ中等科と高等科の認可を受け、1984年には本田山キャンパスが完成し、現在の東山区に移転しました。
2003年には「京都国際学園」を設立し、「京都国際中学高等学校」と改称。
全日制普通科を設置し、京都府知事の認可を受けました。
2004年から現在の名称で運営されています。
近年では、2021年に硬式野球部が甲子園大会に初出場するなど、スポーツ面でも注目されています。
朝鮮語校歌の背景と意義
京都国際高校の校歌が朝鮮語で歌われている理由は、学校の設立理念にあります。
設立当初、朝鮮半島出身者やその子孫である在日朝鮮人の子どもたちの教育を目的としていたため、校歌も朝鮮語で作られました。
これは、彼らのアイデンティティを守り、文化や言語を未来へと伝えていく意志を示しています。
戦後の日本において、朝鮮人が自分たちの文化や言語を維持するのは難しい時代でした。
しかし、京都国際高校は朝鮮語の校歌を採用することで、生徒たちに自らのルーツを大切にし、誇りを持って生きるよう促しているのです。
批判された理由とは?
校歌のタイトルは「모란봉에서」(モランボンで)で、朝鮮半島の象徴的な風景であるモランボン(牡丹峰)を歌ったものです。
モランボンは朝鮮民族にとって重要な歴史的・文化的な場所であり、自由と平和の象徴とされています。
この歌詞は、祖国を離れて暮らす生徒たちに希望と誇りを与えるものとなっています。
야마도 땅은
거룩한 우리 조상
옛적 꿈자리
아침 저녁 몸과 덕
닦는 우리의
정다운 보금자리
한국의 학원
この歌詞を、翻訳すると以下のようになります。
東の海を渡りし
大和の地は
東海の海を越えて
山門の地は
神聖なる我らの祖先の
昔の夢の場所
朝夕
身と徳を磨く
我らの親しき住みか
韓国の学び舎
新潟産大付との試合で勝利した際、画面に表示されたテロップは次の内容でした。
偉大な祖先
古の夢の場所
朝な夕なに
体と徳を磨く
我らのふるさと
韓日の学び舎
「東海」という表現は避けられ、「東の海」と記載されました。
また、「韓国の学園」といった表現も用いられず、「韓日の学び舎」という表現が採用されました。
これには、韓国政府が日本海を国際的に「東海」と認知させることを目指している一方、日本政府がこれに対して強い反対を示しているため、外交問題に発展することがあるためです。
教育理念と校歌の関係
京都国際高校の教育理念は、国際的な視野を持つ人材の育成です。
生徒たちが自己のルーツを理解し、他者の文化を尊重する心を育むことが重要とされています。
校歌が朝鮮語であることは、この教育理念を体現しており、生徒たちにとっては自分たちのアイデンティティを確認する重要な時間となります。
また、異文化理解の重要性を周囲に訴える役割も果たしています。
韓国メディアでの注目
2024年8月5日、韓国の中央日報は、京都国際高校が第106回全国高校野球選手権大会に出場することを特集しました。
記事では、京都国際高校が韓国系民族学校であり、甲子園出場が2年ぶり3度目であることが紹介されています。
また、甲子園で韓国語の校歌を歌うことが日韓友好の象徴とされ、注目されていると報じられています。
1947年に在日韓国人のための民族教育機関として設立された京都国際高校は、現在では国際的な教育を提供する学校として多くの日本人学生も在籍しています。
その校歌が韓国語であることは、韓国文化を尊重し、国際的な視野を持つ人材を育成する教育方針の一環です。
まとめ
京都国際高校の校歌が甲子園で批判された理由は、その歌詞が朝鮮語であることにあります。
学校の設立当初から、在日朝鮮人のアイデンティティを尊重し、文化と伝統を守るために朝鮮語を用いることが決められていました。
しかし、甲子園での日本国内の試合では、この選択が一部の観客やメディアから批判を受けました。
批判の背景には、日本と韓国の間の歴史的・外交的な問題も影響しており、校歌の使用が不快感を引き起こす要因となったのです。
それにもかかわらず、京都国際高校は多文化共生の理念を掲げ、校歌の意義を大切にしています。