パラリンピックの女子マラソンは、障害の異なる選手たちが一堂に会し、スリリングな競技を繰り広げる舞台です。
この競技では、視覚障害者や車いす使用者が特定のルールに基づいてレースを行います。
視覚障害クラスでは伴走者(ガイドランナー)が選手をサポートし、車いすクラスでは特別に設計された競技用車いすが使用されます。
しかし、競技の緊張感はルール違反によってさらに高まることもあります。
今回は、女子マラソンにおける失格理由と、その影響について詳しく解説します。
パラリンピック マラソン女子
パリパラリンピックのマラソン競技は大会の最終日である8日に開催されました。女子視覚障害クラスのレースでは、世界記録保持者である道下美里選手が連覇を狙いました。
しかし、道下選手はレース序盤から他の選手と大きく差をつけられ、4位で粘り強く走り続けたものの、最終的には3時間4分23秒でフィニッシュし、3位の選手とは3分半以上の差がありました。
それでも、3位でゴールしたスペイン選手が失格となったため、道下選手は繰り上がりで銅メダルを獲得しました。
金メダルはモロッコのファティマ・エッザフラ・エル・イドリシー選手が2時間48分36秒で獲得し、道下選手の世界記録を更新しました。
銀メダルは同じくモロッコのメルエム・エ・ヌーリ選手が2時間58分18秒で受賞しました。
スペイン選手が失格になった理由は?
スペインの選手が失格となった理由は、ガイドランナーが体に触れる違反があったとされており、スペインパラリンピック委員会はその説明を提供しました。
公式記録では、国際パラ陸上競技連盟の規則に基づき選手とガイドランナーに関する違反が指摘されていますが、具体的な違反項目についての公式な発表はされていません。
失格となったスペインのエレナ・コンゴスト選手のガイドランナーがフィニッシュ直前にふらつき、コンゴスト選手が手で支えながらゴールに達したことが問題とされました。
ルールでは、ロープで結ばれた伴走者同士が体に触れてはいけないとされています。
パリオリンピック マラソン競技ルールとは?
パラリンピックのマラソン競技はオリンピックとほぼ同じルールですが、視覚障害クラスでは伴走者(ガイドランナー)と走ることが認められています。
車いすクラスでは競技用車いすを使用し、腕だけで駆動して42.195キロメートルを走ります。
障害クラスはTと数字で表され、視覚障害の場合はT11(全盲など)とT12(視力がある程度残っている)のコンビネーションで行われます。
視覚障害を持つ選手は、T11(全盲など)およびT12(重度の弱視)クラスにおいて、ガイドランナーとともに競技することができます。
選手はガイドランナーから音声による指示を受け、競技中はガイドランナーと肘をつかむか、ロープを使って連携します。
また、5000メートル以上のレースでは、最大で2人のガイドランナーを使うことが許可され、レース中に1回だけ交代が可能です。
例えば、ロープを持ち替える際には、選手と2人のガイドランナーが一時的にロープを通じてつながり、
「ここまでお疲れ様」
「ここからがんばって」
と励まし合いながら競技を進めます。
道下美里選手のプロフィール
道下美里選手は1977年1月19日生まれで山口県下関市出身。
小学4年生のときに目の病気で右目の視力を失い、中学生で左目も視力がほとんど残らなくなりました。
彼女は「絆」と呼ばれるロープで伴走者とつながり、小柄な体を生かしたピッチ走法で知られています。
前回のリオデジャネイロパラリンピックでは銀メダルを獲得し、その後、2020年12月には自らの世界記録を更新しました。
まとめ
パラリンピックの女子マラソンは、視覚障害者や車いす使用者が特定のルールで競い合う感動的なイベントです。
視覚障害クラスでは伴走者と連携し、車いすクラスでは専用の競技用車いすを駆使します。
最近の大会では、視覚障害の女子選手が世界記録保持者として連覇を狙いましたが、失格となった選手の影響で銅メダルを獲得しました。
失格の理由はガイドランナーの体に触れる違反で、ルール違反の具体的な内容やその影響が注目されています。