2025年6月末、和歌山・白浜のアドベンチャーワールドで飼育されている4頭のジャイアントパンダが中国へ返還されることが発表されました。
これにより、パンダ目当てで白浜を訪れていた多くの観光客や鉄道利用者にとって大きな衝撃となっています。
特に、パンダをモチーフにしたラッピング特急「パンダくろしお」の今後や、紀勢線（きのくに線）の利用者数への影響が注目されています。
この記事では、パンダ返還後の「パンダくろしお」の運行動向や、紀勢線の利用者減少リスク、そして今後の地域観光や鉄道活性化の可能性について詳しく解説します。
パンダ返還の経緯と白浜観光への影響
パンダ返還の背景とアドベンチャーワールドの現状
アドベンチャーワールドで飼育されていたジャイアントパンダ4頭（良浜、結浜、彩浜、楓浜）は、日中共同プロジェクトの契約満了により2025年6月末に中国へ返還されることが決まりました。
この決定は、パンダファンや地元観光業界に大きな衝撃を与えています。
白浜町の観光担当者も「パンダは白浜の大きなコンテンツ」と述べ、観光資源としてのパンダの存在感の大きさが改めて浮き彫りになりました。
今後、アドベンチャーワールドはパンダ以外の動物やショー、体験型コンテンツで集客を図る必要があります。
パンダ目当ての旅行者と鉄道利用の実態
実際にアドベンチャーワールドへの旅行者の多くは、パンダ目当てで白浜を訪れていました。
特に関西圏や首都圏からの観光客は、特急「くろしお」や「パンダくろしお」を利用してアクセスするケースが多く、パンダは鉄道利用促進の大きな原動力となっていました。
パンダ観覧を主目的とした旅行者は、現地での宿泊や温泉、観光施設の利用も活発で、地域経済全体に波及効果をもたらしていたのです。
白浜観光業界の反応と今後の課題
パンダ返還の発表直後、白浜町の観光関連企業や自治体からは「大きな損失」「困惑している」といった声が相次ぎました。
パンダを目当てに来ていた観光客の減少が懸念され、今後は新たな集客策や観光資源の発掘が急務となっています。
アドベンチャーワールドとしても、イルカショーやサファリ体験、他の希少動物の魅力発信など、パンダ以外の強みをどう打ち出すかが問われています。
「パンダくろしお」の今後と紀勢線の利用動向
「パンダくろしお」はどうなる？
パンダ返還のニュースを受け、「パンダくろしおは廃止されるのか？」と心配する声が多く上がっています。
しかし、JR西日本の公式情報や過去の発表によると、「パンダくろしお」は観光列車としても人気が高く、当面は運行継続の方針が示されています。
今後の可能性としては、パンダ以外の動物をモチーフにした新たなラッピングへの変更や、運行形態の見直し、一時的な運休・再登場といった選択肢が考えられています。
現時点ですぐに廃止される可能性は低いものの、パンダ返還後の集客力維持が課題となります。
紀勢線（きのくに線）の利用者数と減少傾向
紀勢線は和歌山県の主要都市を結ぶ重要な鉄道路線ですが、沿線人口の減少や自家用車の普及などにより、過去35年で利用者が約5～7割減少しています。
特に新宮～白浜区間では、輸送密度が2,000人/日未満と厳しい状況で、2022年時点で白浜駅の乗降客数は1,414人/日と低迷しています。
特急利用者の多くが観光目的であり、パンダ目当ての集客減少は紀勢線全体の利用者減少につながるリスクがあります。
今後の利用促進策と地域の取り組み
紀勢線の存続や活性化には、観光利用の維持・拡大が不kurosio沿線自治体やJR西日本は、教育旅行や地域イベント、他の観光資源との連携による利用促進策を模索しています。
アドベンチャーワールドも、パンダ以外の魅力を発信し、地域全体の観光価値を高めることが求められます。
今後は「パンダくろしお」のブランド力を活かした新たなラッピング列車や、地域資源を活かした観光列車の展開など、多角的な取り組みが期待されます。
まとめ
パンダ返還は白浜観光や紀勢線利用に大きな影響を与える出来事となりました。
パンダ目当ての旅行者や鉄道利用者の減少は避けられないものの、「パンダくろしお」は観光列車としての人気や地域のシンボル性から、当面の運行継続が見込まれています。
今後は、アドベンチャーワールドや沿線自治体がパンダ以外の観光資源をどう活かし、鉄道利用や地域観光を盛り上げていくかが重要です。
パンダのいない白浜でも、新たな魅力や体験を提供することで、引き続き多くの人に訪れてもらえる地域づくりが期待されます。
