パラアーチェリー界での騒動が大きな注目を集めています。
福岡出身の重定知佳選手が、東京オリンピック代表選考中に同じく代表を目指していた小野寺選手を誹謗中傷したとして、2024年8月に名誉毀損で約124万円の賠償命令を受けました。
問題の発端は、重定選手による小野寺選手へのルール違反を指摘するコメントが含まれた投稿でしたが、その内容が虚偽であった可能性も指摘されています。
詳細に迫るとともに、パラアーチェリーという競技のルールや背景についても触れていきます。
重定知佳選手の軌跡と最近の裁判について
重定知佳選手(シゲサダ チカ)は、福岡県北九州市八幡西区出身のアスリートで、1982年11月22日に生まれました。
彼女は福岡県立折尾高等学校を卒業し、当初は車椅子テニスの選手として知られていました。
重定選手はその実力を証明し、日本ランキング6位に達するなどの成果を上げましたが、キャリアの転機が訪れました。
テニスからアーチェリーに転向し、ここでも活躍を見せています。
重定選手は中学2年生の時に運動機能が低下する病気を発症し、次第に歩行が困難になりました。
それにもかかわらず、2015年から本格的にアーチェリーに取り組み始め、東京オリンピックでは日本代表として選ばれるなど、その実力を証明しています。
東京オリンピックでの成績
東京オリンピックでは、女子リカーブ個人で7位、混合リカーブ団体で5位という成績を収めました。
これらの結果は彼女の努力と技術の証しであり、多くのファンに感動を与えました。
裁判と賠償命令
しかし、重定選手の名前が裁判で報じられることになったのは、彼女の発信したコメントが原因です。
2021年1月、重定選手は東京オリンピック代表選考の期間中に、同じく代表を目指していた選手のブログコメント欄に中傷的な書き込みを行っていたことが発覚しました。
その中には
「悪あがきもほどほどに」
「ルール違反していない?」
といった内容が含まれていました。
これらのコメントについて、書き込みを受けた選手が発信者情報の開示請求を行い、重定選手がその発信者であることが特定されました。
このため、名誉毀損として裁判が起こされ、2024年8月6日に東京地裁から約124万円の損害賠償支払いを命じられる判決が下されました。
これは通常の相場よりも高額な金額であり、裁判官は「投稿は卑劣なものと言うほかない」と厳しい意見を示しました。
ルール違反の主張と真相
重定選手の書き込みには、対象選手が「椅子で競技をしていない」ことがルール違反であるとの指摘が含まれていました。
しかし、調査の結果、その選手が大会で椅子ではなく車椅子で競技を行っていたという証拠は見つからず、この主張が虚偽である可能性が示唆されています。
裁判官も「これが真実なら、大会中にルール違反を申告しているはずだ」と述べており、重定選手の主張が不正確であったと考えられます。
パラアーチェリーの概要
パラアーチェリーは、障がい者向けのアーチェリー競技で、基本的なルールはオリンピックとほぼ同じです。
競技においては、選手が使用する弓や矢の種類が異なるほか、障がいの程度によって足や口、補助道具を使用することが認められています。
選手が的に矢を命中させるための精密な技術と集中力が求められ、競技中の緊張感は観客と共有されます。
パラアーチェリーは1948年に起源を持ち、歴史的には日本でも1972年のハイデルベルグパラリンピックから盛んに行われてきました。
最近では、前回パラリンピックで上山友裕選手が7位に入賞し、注目が集まっています。
重定選手の裁判とパラアーチェリーの歴史は、スポーツの公平性と選手間の尊重の重要性を改めて考えさせるものとなります。
まとめ
重定知佳選手の誹謗中傷による名誉毀損問題が浮上した今回の件では、2024年8月に東京地裁が重定選手に約124万円の賠償金を命じました。
問題のコメントには、小野寺選手のルール違反を指摘する内容が含まれていました。
しかし調査の結果、実際にはルール違反は確認されておらず、虚偽の報告であった可能性が高いとされています。
パラアーチェリーの競技自体は、オリンピックとほぼ同じルールで行われる緊張感あふれるスポーツです。
今回の騒動は、選手間の誠実さと公正な競技運営の重要性を改めて浮き彫りにしました。