プロ野球の試合中、乱闘や一触即発の状況が発生した場合、審判が「警告試合」を宣言することがあります。
この措置は、試合の秩序を保ち、報復行為を未然に防ぐために重要です。
しかし、「警告試合」と「没収試合」は似て非なるもので、それぞれ異なる状況で適用されます。
本記事では、警告試合の基本的な意味と目的、そして没収試合との違いについて詳しく解説します。
「警告試合」とは？
「警告試合」という言葉を聞いたことがあるかもしれませんが、その意味を簡単に解説しましょう。
「警告試合」とは？
これは、試合が一触即発の状態に達し、乱闘などのトラブルを防ぐために審判が両チームに対して発する警告がある試合のことです。
通常、これは報復行為を防ぐために行われ、両チームに対して警告が出されます。
警告試合が宣言される理由
プロ野球やメジャーリーグでは、試合中に乱闘が発生することがあります。
例えば、投手が打者の頭部に向かって危険な球を投げたり、選手間でトラブルが起きると、これが乱闘に発展することがあります。
こうした乱闘が続くと試合の進行が困難になるため、審判は「警告試合」を宣言して、報復行為を防ごうとします。
警告試合が宣言される流れ
1. トラブルの発生
乱闘や一触即発の状態が起こります。よく見られるのは、危険な球やデッドボールなどです。
2. 状況の悪化
両軍がベンチから出てくるなどして、さらに緊張状態が続きます。
3. 警告の宣言
審判が「警告試合」を宣言し、両チームに対してこれ以上の報復行為を禁止します。
警告試合後の対応
警告試合が宣言された後も試合は通常通り進行しますが、審判の監視が厳しくなります。
特に以下の2点に注意が必要です。
1. 報復行為への対処
もし報復行為があった場合、該当選手や監督は退場処分を受けることになります。
2. デッドボールへの厳格な対応
危険球やデッドボールに対しても厳しく対処されることが多いです。
報復行為とされやすいプレーの例
1. デッドボール
打者に対する危険な投球。
2. 危険な走塁
スパイクを向けたスライディングやタックルなど。
3. 挑発行為
ヤジや暴言など、相手を挑発する行為。
「警告試合」の規定
「警告試合」は、野球の公式ルールブックには明記されていませんが、日本プロ野球ではセ・リーグとパ・リーグの「アグリーメント」に記載されています。
この「アグリーメント」は、試合をスムーズに進行させるための共通ルールです。
「没収試合」との違い
「警告試合」と似たような言葉に「没収試合」がありますが、これとは大きく異なります。
「没収試合」とは？
試合の開始や継続が困難な状況、または重大な反則行為が発生した場合に、その原因を作ったチームを強制的に敗北させる試合のことです。
没収試合になるケース
1. 試合開始の遅延
チームが試合開始に遅れた場合。
2. 故意の試合遅延
試合をわざと長引かせる行為があった場合。
3. プレー拒否
審判の再開指示を無視した場合。
4. 退場処分の不履行
退場させられた選手をすぐに退場させなかった場合。
5. 反則行為の継続
警告を受けたにも関わらず反則行為を繰り返す場合。
6. 選手不足
必要な人数の選手が揃わなかった場合。
「警告試合」と「没収試合」の違い
「警告試合」は試合の進行を続けながら、報復行為を防ぐための警告を行うものであり、「没収試合」は試合が進行できなくなった場合にそのチームを敗北させる処置です。
セ・リーグとパ・リーグの背景
セ・リーグとパ・リーグの起源
日本プロ野球は1950年に二つのリーグに分かれました。
この分裂は、毎日新聞社の球団がプロ野球に参入しようとしたことに端を発します。
参入賛成派と反対派で意見が対立し、セ・リーグ（反対派）とパ・リーグ（賛成派）が設立されました。
リーグ名の意味
パ・リーグ
「パシフィックリーグ」の略で、「太平洋」を意味します。
国際的な広がりを意識した名前です。
セ・リーグ
「セントラルリーグ」の略で、「中心的な存在である」という意味合いが込められています。
ルールの違い
DH制（指名打者制）
パ・リーグでは1975年から導入されています。
これは投手の代わりに打撃専門の選手を起用できる制度です。
セ・リーグでは現在も導入されていません。
このため、セ・リーグでは投手も打席に立つことが多いです。
まとめ
プロ野球における「警告試合」は、試合中の乱闘や報復行為を防ぐために審判が両チームに対して警告を出す状況を指します。
これに対して「没収試合」は、試合が進行不可能な状態や重大な反則があった場合に、問題を引き起こしたチームに対して敗北を宣告するものです。
警告試合は試合の続行を前提に、秩序を保つための措置であり、没収試合は試合自体の成立を損なう事態に対処するためのものです。
両者は目的と適用条件が異なるため、混同しないよう注意が必要です。
