フェンシングは、騎士道精神に基づいたヨーロッパの伝統的なスポーツです。
試合は狭く長い「ピスト」というコートで行われ、選手たちは礼儀を重んじながら競います。
試合中に選手が腰に付けている紐は、実は「センサーケーブル」です。
これにより、剣先が防具に触れると電気信号が送られ、得点が瞬時に判定されます。
フェンシングのユニフォームが白いのも、かつてインクで判定していた名残りです。
フェンシングの奥深い魅力を知るために、その歴史やルールに触れてみましょう。
フェンシングとは
フェンシングは中世ヨーロッパの騎士道をルーツに持つスポーツで、日本の武士道の礼儀作法と同様に、対戦相手への敬意や品位が求められる
「紳士淑女の競技」
として知られています。
競技用語はフランス語で統一され、主審の号令によって試合が進行します。
ここでは「エペ」「フルーレ」「サーブル」の3種目に共通する試合の基本的な流れを説明します。
フェンシング試合の流れ
試合は「ピスト」と呼ばれる、幅1.5~2メートル、長さ14メートルのコートで行われます。
まず、選手はピストに立ち、主審による装備チェックを受けます。
問題がなければ、
「ラッサンブレ・サリュー(気をつけ・礼)」
の合図で一礼し、挨拶を交わします。
その後、
「アンガルド(構え)」
の号令でマスクを着用し、スタートラインに立ちます。
主審が
「エドプレ」
または
「プレ」(準備はいいですか?)
と確認し、両選手が
「ウィ(はい)」
と応じると、
「アレ(初め)」
の合図で試合開始となります。
試合終了時には再び
「ラッサンブレ・サリュー(気をつけ・礼)」
の号令で挨拶を交わし、握手をして健闘を称え合います。
このような礼儀を重んじるスタイルが、フェンシングの魅力の一つです。
フェンシングの得点判定方法
フェンシングは素早い動きが特徴で、得点は「電気審判器」というシステムで判定されます。
剣先が防具ジャケットに触れると通電し、赤または緑のランプが点灯して得点が表示されます。
選手のマスクもランプが点灯することがあります。
腰に繋がれたケーブルはセンサーで、剣先が有効面に触れると信号を送ります。
以前はインクやすすを使って攻撃の当たり具合を確認していましたが、現在は電気審判器が導入され、より正確に判定されるようになりました。
伝統的に白いユニフォームを着用する理由は、インクやすすの痕跡が見やすいからです。
個人戦と団体戦のルール
個人戦
まず6~7人ずつのグループで総当たり戦を行い、3分間で5ポイント先取した方が勝ちとなります。
その後、トーナメント戦が行われ、3分間の3セットで15ポイント先取した方が勝者です。
同点の場合は、1分間の延長戦で決着をつけます。
団体戦
4人チームで、3人が試合に出場し、相手チームの3人と計9試合を行います。
各試合は3分間で5ポイント先取、合計45ポイントを先取したチームが勝利です。
同点の場合は個人戦同様、延長戦が行われます。
「エペ」「フルーレ」「サーブル」の特徴
エペ
全身が有効面で、攻撃の優先権がないため、リーチの長い選手が有利です。
750g以上の圧力で突くと得点となります。
フルーレ
胴体のみが有効面で、攻撃の優先権があります。
先に攻撃を仕掛けた選手が優先権を持ち、防御側はそれを阻止して優先権を奪います。
500g以上の圧力で突くと得点です。
サーブル
斬る攻撃があるため、最も運動量が多い種目です。
上半身が有効面で、斬りと突きの攻撃が可能です。
剣が有効面に触れると得点となります。
まとめ
フェンシングは、エレガンスとスポーツマンシップが融合したユニークな競技です。
選手が腰に装着している紐は「センサーケーブル」で、これによって剣先が有効面に触れた瞬間に得点が判定されます。
この電気審判器システムのおかげで、スピーディーな試合でも正確な判定が可能です。
かつてはインクで攻撃の跡を確認していたため、フェンシングのユニフォームが白いという伝統もあります。
フェンシングは技術と礼儀が重要視されるスポーツで、その歴史や独自のルールを知ることで、さらに楽しむことができるでしょう。