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ガソリン暫定税率廃止と課題は?

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近年、ガソリン暫定税率の廃止が大きな話題となっています。

暫定税率は、1954年の道路整備計画に基づいて導入され、長年にわたり全国の道路整備資金を支える役割を果たしてきました。

しかし、時代の変化とともにその目的が薄れ、税率廃止の議論が活発化しています。

ガソリン暫定税率の廃止には、一般消費者にとっての負担軽減という利点がある一方で、地方自治体や国の道路整備に必要な財源確保の難しさといった重要な課題も浮上しています。

また、税収の減少によって公共インフラの維持管理が困難になる懸念や、他の税金への影響も無視できません。

このブログでは、ガソリン暫定税率廃止の背景やその影響、直面する課題について掘り下げ、今後どのような対応が求められるのかを考察していきます。

目次

【ガソリン税の暫定税率が廃止へ】

自民党、公明党、国民民主党の3党が、ガソリン税に上乗せされている暫定税率の廃止で合意しました。

ガソリン税には、本来の税率28.7円/リットルに加え、現在25.1円/リットルの暫定税率が上乗せされています。

この暫定税率は、昭和49年に当時の田中角栄政権が道路整備の財源不足に対応するために導入されたものです。

その後、2度のオイルショックなどを経て、54年以降は25.1円の暫定税率が継続して徴収されてきました。

しかし今回、3党の合意により、この暫定税率の廃止が決まりました。

ガソリン1リットルあたりの税率は、本来の28.7円に戻ることになります。

このことで、ガソリン価格が1リットルあたり25.1円安くなると見込まれています。

長年続いたガソリン税の暫定税率が、ついに廃止されることになりました。

自動車ユーザーにとってはウェルカムな決定と言えるでしょう。

ガソリン減税合意文書と自動車関連税の整理

合意文書では、ガソリン減税に関して「いわゆる『ガソリンの暫定税率』は、廃止する」と明記されているものの、具体的な廃止時期は記載されていません。

この暫定税率の廃止を背景に、自動車関連の諸税についても整理しておく必要があります。

クルマを取得(購入)する際には、地方税として「自動車税の性能環境割」(以前の自動車取得税)や、国税である「消費税」が発生します。

クルマを所有する場合、毎年地方税として「自動車税」(軽自動車の場合は「軽自動車税」)を支払い、車検時には国税として「自動車重量税」を納める義務があります。

これらの税金をまとめて「車体課税」と呼びます。

また、電気のみを使用するBEV(バッテリーEV)や水素を使用するFCEV(燃料電池車)以外の車両は、走行のためにガソリンや軽油(ディーゼル燃料)を利用しますが、これらの燃料にはさまざまな税金が課されています。

これが「燃料課税」です。

具体的には、国税として「揮発油税」、地方揮発油税、石油ガス税があり、地方税としては軽油引取税が存在します。

税額については、ガソリンの場合、1リットルあたり揮発油税が48.6円、地方揮発油税が5.2円の合計で53.8円となります。

軽油の場合は、1リットルあたり軽油引取税が32.1円です。

このうち、ガソリンの53.8円の内訳では「旧暫定税率」と呼ばれる部分が25.1円、軽油では32.1円の内訳で17.1円が該当します。

このように、ガソリン税や自動車関連の税金は複雑な仕組みを持っており、政策の変更や税率の調整が日常生活にも大きな影響を及ぼすことを理解しておくことが重要です。

課題は財源

国の自動車関連税制度、特に車体課税や燃料課税は、戦後の高度成長期において、1954年の第1次「道路整備計画」に基づいて制定されました。

目的は、道路の舗装や保守に必要な費用を、車両を利用するユーザーから徴収することです。

1973年の「第7次道路整備計画」進行時には、予算確保の手段として「暫定税率」が導入されました。

暫定税率は、この後も続く道路整備計画に応じて設定され、2000年代の民主党政権下では一時的に失効しましたが、福田康夫内閣の施策によって復活し、2010年に道路特定財源が一般財源化されるまで存続しました。

この結果、車体課税や燃料課税の使途は、元々の目的であった道路整備から外れた形となっています。

2010年からは「トリガー条項」が設定され、ガソリン価格が一定の水準を超えた場合に暫定税率が一時的に停止される仕組みが導入されました。

しかし、東日本大震災を受けてこの条項が凍結されて以来、その状態が続いています。

さらに、自動車重量税も2010年と2012年に一部が引き下げられました。

国や地方自治体の歳入が減少すると、その財源確保が課題となり、歳出の見直しが必要です。

このような状況下で、車体課税と燃料課税の見直しが議論されています。

日本自動車工業会は車体課税の抜本的な見直し案を提出し、今後は令和7年度税制改正大綱に盛り込まれる予定です。

ガソリン減税や燃料関連の急激な価格変動にも留意が必要です。

原油価格の変動に影響を受けやすい日本の状況では、国の動向を注視しつつ、今後どのような政策が実施されるのか、関心を持ち続けることが重要です。

まとめ

ガソリン暫定税率の廃止は、長年の議論を経てついに現実のものとなりました。

この廃止により、消費者はガソリン代の軽減を期待できますが、一方で地方自治体や国の道路整備に必要な財源が失われる懸念があります。

暫定税率が廃止されることで、従来の道路整備資金が確保できなくなり、公共インフラの維持管理が難しくなる恐れがあります。

また、税収の減少は他の税金に影響を及ぼす可能性もあるため、国や地方自治体は新たな財源を見つけることが急務です。

ガソリン暫定税率の廃止は、多くの利点をもたらす一方で、財源確保の課題が浮き彫りとなります。

今後は、持続可能な交通インフラを守るために、どのような新しい施策が導入されるのか、注視が必要です。

社会全体の交通政策と連携した対策が求められている時期に来ています。

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