2024年パリオリンピックのロシア代表の出場が注目されています。
しかし、国際オリンピック委員会(IOC)は、ロシアのウクライナ侵攻を理由に特別な措置を講じました。
ロシアおよびその同盟国であるベラルーシの選手たちは、自国を代表せず、「中立な個人資格(AIN)」として参加することが許可されています。
これにより、25人の選手が国旗や国歌を使用せずに競技に挑みます。
この中立資格に関する詳細と背景について、この記事で詳しく解説します。
パリ2024オリンピックとは
2024年7月26日から8月11日まで、第33回オリンピック競技大会がフランスのパリを中心に開催されます。
パリでのオリンピック開催は1900年と1924年に続き、これで3回目となります。
今回の大会では、32の競技が329の種目で行われ、開会式はパリの中心を流れるセーヌ川で行われる予定です。
パリオリンピックの参加国数と参加人数
パリ大会には、32の競技と329の種目があり、約200の国や地域から参加者が集まっています。
男子選手はおよそ5700人、女子選手はおよそ5500人で、総勢1万1000人以上がエントリーしています。
難民選手団は前回の東京大会よりも8人増え、史上最多の37人が参加します。
日本選手団については、体操女子の宮田笙子選手が大会直前に辞退したため、参加人数は409人となりました。
しかし、海外で開催される大会としては2008年の北京大会を上回り、過去最多の参加人数となっています。
ロシアとベラルーシの選手の参加について
国際オリンピック委員会(IOC)は、来月開幕するパリオリンピックに
“AIN”(中立な個人資格の選手)
として参加するロシアとベラルーシの25人の選手を承認しました。
これらの選手はウクライナ侵攻を理由に、国旗や国歌を使用せず、中立な立場での参加となります。
IOCは、軍関係者や侵攻を支持する選手は認めないという審査基準を設け、選考を行いました。
最終的に、ロシアから14人、ベラルーシから11人が選ばれました。
競技別では、ロード自転車4人、トランポリン3人、ウエイトリフティング2人、レスリング16人が参加します。
なお、前回の東京オリンピックで金メダルを獲得したベラルーシのトランポリン選手、イワン・リトビノビッチは今回も参加が承認されましたが、テコンドーの選手は認められませんでした。
もし両国の割り当てられた出場枠が満たされなかった場合は、他の国や地域の選手に再配分される予定です。
パリオリンピックとウクライナ選手
ウクライナの選手団にとって、今回のパリオリンピックはロシアによる侵攻が始まって以来初めてのオリンピックとなります。
選手団は他国の選手たちと共にセーヌ川をボートで進みました。
旗手を務めたのは、東京オリンピックのテニス女子シングルスで銅メダルを獲得したエリナ・スビトリナ選手です。
開会式前の記者会見で、旗手としての抱負を尋ねられたスビトリナ選手は、
「私にとっては名誉で、五輪で勝つことと同じくらい重要なことです」
と語りました。
彼女はウクライナ侵攻以降、ロシアとベラルーシの選手との試合後の握手を拒否してきました。
7月のウィンブルドン選手権で8強入りした際には、自分が国外で生活する一方で、親族がウクライナに残っていることに対する罪悪感を語っていました。
それでも、彼女はウクライナへの関心を引き続きつなぐことが自身の使命だと感じています。
まとめ
パリオリンピックにおいて、ロシアとベラルーシの選手たちは
「中立な個人資格(AIN)」
として参加が認められました。
この特別な措置は、ウクライナへの侵攻を背景に、国旗や国歌を使用せずに競技に出場するものです。
IOCは、軍関係者や侵攻を支持する選手を排除する厳しい審査基準を設け、25人の選手を選びました。
これにより、ロシアとベラルーシの選手たちは公平な競技の場で技を競い合うことが可能となります。
国際情勢がスポーツに与える影響は大きいですが、この中立資格制度が、競技の純粋な精神を守る一助となっています。