ファッション業界で急成長を遂げた中国発のオンライン小売業者、SHEIN(シーイン)。
その魅力的な価格とトレンドを押さえた商品展開で多くの消費者を惹きつけていますが、最近その製品安全性に深刻な疑念が浮上しています。
2024年の複数の調査で、SHEINの商品から基準値を大幅に超える発がん性物質が検出されました。
特に女性用パンツや水遊び用グッズ、子供用衣服などから危険な化学物質が確認され、消費者の健康リスクが懸念されています。
本記事では、SHEINのどのような商品に発がん性物質が含まれていたのか、具体的な事例を詳しく解説します。
SHEINについて
SHEIN(シーイン)は、中国発のオンラインファッション小売業者で、世界220か国以上に展開するグローバルな越境EC企業です。
特徴的なのは、実店舗を持たず、完全にオンラインで販売を行う点です。
また、100単位という少量ロットで多品種の商品を提供することも大きな特徴です。
販売戦略として、影響力の強いインフルエンサーではなく、親しみやすい一般消費者を大量に起用することで、幅広い層にリーチしています。
低価格で多様な商品を提供できる理由は、製造工程にあります。
SHEINは自社工場を持たず、300から400の主要サプライヤーと、1,000を超える協力サプライヤーと提携することで、巨大なサプライチェーンを構築しています。
この仕組みにより、多品種少量生産を実現しています。
SHEINのリスクと問題点
SHEINが危険視される理由は以下の通りです。
⚫︎製品の安全性に対する懸念
⚫︎情報公開の不透明さ
⚫︎個人情報の取り扱いに対する懸念
⚫︎ウイグル人の強制労働疑惑
製品の安全性に関する問題
複数の調査で、SHEINの製品から発がん性物質や有害物質が検出されています。
例えば、ソウル市の調査では、2024年6月から7月にかけてSHEINや他の中国系ECサイトで販売されている衣類、化粧品、食品容器、衛生用品を検査した結果しました。
その結果、SHEINの女性用パンツから基準値を大幅に超える発がん物質「アリールアミン」が検出されました。
この物質は衣類染色に使われ、膀胱がんのリスクを高めることが知られています。
さらに、2024年7月の調査では、SHEINの水着や浮き輪などの水遊び用商品の一部からも発がん性物質が確認されました。
特に、浮き輪やビーチボールからは基準値を大きく上回る量の有害物質が検出されています。
また、グリーンピース・ドイツの調査によると、SHEINの子供向け衣服や靴からEU規制値を超える有害化学物質が検出されました。
カナダ保健省も、SHEINの子供用ジャケットから高濃度の鉛が検出されたとしてリコールを発表しています。
鉛は特に子供に対して有毒で、神経系や肝臓、腎臓などに深刻な影響を及ぼすことが知られています。
化粧品の問題
SHEINの化粧品からも安全性の問題が発覚しています。
リップスティックやチークなどの製品から皮膚炎を引き起こす可能性のある黄色ブドウ球菌が確認され、マニキュアからは基準値を超えるニッケルやジオキサンが検出されました。
ニッケルはアレルギー性皮膚炎を引き起こし、ジオキサンは呼吸器や眼粘膜、肝臓、腎臓に影響を与えるリスクがあります。
また、一部の化粧品は表示されている成分量よりも実際の含有量が不足していることが分かっています。
これらの問題を受けて、ソウル市は安全性に問題のある製品の販売中止を求める計画を立てています。
まとめ
SHEINの製品から発がん性物質が検出された問題は、消費者にとって重大な健康リスクを引き起こす可能性があります。
ソウル市やカナダ保健省、グリーンピース・ドイツなどの調査結果から、女性用パンツ、水遊び用グッズ、子供用衣服、化粧品など、さまざまな製品に有害物質が含まれていることが明らかになりました。
これらの製品には、発がん性物質やアレルギーを引き起こす化学物質が基準値を超えて含まれており、特に肌に直接触れる衣類や化粧品においては深刻な問題です。
消費者は、安全性の確保された製品を選ぶことが重要であり、今回の問題を踏まえた慎重な選択が求められます。