あなたも気になったことがあるだろう。
Wikipediaにはどのような人物が掲載されているのか? そして、自分の記事を載せたいと思った場合、どのような手順で申請すればよいのだろうか。
Wikipediaに記事が掲載されるには、主に「特筆性」が求められる。
つまり、その人物が百科事典に載るほど重要で注目されるべき存在であるということを示す、信頼できるエビデンスが必要とされるのだ。
例えば、著名なメディアで特集記事を組まれたり、学会で基調講演をしたりした実績があれば、その人物の特筆性は認められやすい。
一方で、登録者数が多いYouTuberやVTuberなどの場合、必ずしも特筆性が認められるわけではない。
単に人気があるだけでは不十分で、他の信頼できるメディアでも取り上げられていることが重要なのだ。
また、Wikipediaへの掲載には、個人のプライバシー保護の問題も付きまとう。
自分の記事を望んでも、コミュニティの判断で記事が残されてしまうケースもある。
編集の自由度が高いWikipediaにおいて、個人情報の管理は非常に難しいのが現状だ。
このように、Wikipediaへの掲載には一定の基準と課題が存在する。自身の記事を希望する場合は、十分に検討する必要がある。
特筆性の問題
ウィキペディアにおける記事削除の最も一般的な理由は、「特筆性の不足」です。
この特筆性とは、百科事典の記事として相応しい価値を持つことを意味します。
つまり、情報に対して紙幅を割く価値が存在するかどうかが問われるのです。
特に最近では、YouTuberやVTuber、さらには他のジャンルの有名人に関する記事が頻繁に削除対象となっています。
ウィキペディアでは、特筆性を証明するためには信頼できる、検証可能な証拠が必要であり、単に「人気がある」や「有名である」といった主張だけでは不十分です。
特筆性の証明として求められるものは、他のメディアがその人物について十分に報じていることです。
たとえば、雑誌の特集記事やインタビュー記事、学術的な論文などが挙げられます。
逆に、たとえチャンネル登録者数が数十万に達しようとも、特筆性が認められなければ、記事は削除される運命にあるのです。
極端なケースでは、登録者数が100万人を超えているにもかかわらず、メディアに取り上げられた実績がないために削除されることもあります。
その一方で、あるVTuberは少数の登録者ながらも、学会での講演や雑誌掲載歴によって特筆性が認められるという、興味深い現象が起きています。
このように、ウィキペディアでは「特筆性」が非常に重要な要素であることが分かります。
プライバシー侵害のおそれ
ウィキペディアに記事が掲載されることには、プライバシー侵害のリスクが伴います。
たとえ自分自身に関するページであったとしても、ウィキペディア上では誰でも編集ができるため、個人情報やプライバシーに関わる内容が容易に書き加えられ、残る可能性があります。
他のSNSや動画サイトでは、削除申請を行うことで比較的すぐにコンテンツを削除できるケースが多いですが、日本語版ウィキペディアでは、プライバシー侵害や名誉棄損に関する記述の削除にはかなりの時間がかかります。
日本語版ウィキペディアの削除手続きは、一週間以上の議論を要する一般的な削除依頼と異なり、「緊急」や「即時」といった特別な条件下での削除依頼が存在しますが、これでも削除されるまでに数日を要することが一般的です。
時には数ヶ月間放置されることもあります。これは、管理者や削除者の絶対数が少なく、対応が追いついていないためです。
例えば、日本語版ウィキペディアでは管理者が41名、削除者が4名に対し、記事数は約120万件と、英語版などの主要な言語版に比べて明らかに非効率です。
このような状況を受けて、「存命人物の記事はすべて削除すべき」という意見もある一方で、それを行うと重要な情報源であるウィキペディアの特性が失われ、
ノーベル賞受賞者や歴史的人物に関する情報が得られなくなるという反論もあります。
結局、ウィキペディアに自分の記事が作成されたとしても、荒らしや悪意のある編集者がそのページを改悪する可能性があり、プライバシー侵害の記述がいつ削除されるのか分からない不安も残ります。
利用者としては、掲載されることによる利便性とリスクを十分理解し、慎重に行動する必要があります。
自分の記事なのにコントロールできない
ウィキペディアに自分の記事を作成する人は、2001年のサービス開始以来多く存在してきましたが、その管理には大きな制約があります。
2004年には「自分自身の記事」というルールが整備され、現在では重要なガイドラインの一つとなっています。
そのルールには、本人が執筆した自伝的記事が、他の人の編集によって意に反する内容に変化してしまうことがあると記されています。
このような状況に直面した場合、英語版ウィキペディアでは、初版の執筆者が記事削除を依頼するケースも見られますが、コミュニティの合意が得られれば、記事は存続することになります。
この「存続に合意」とは、ウィキペディア内での議論を経て、多くのウィキペディアンが「この記事は削除しない」と判断することを指します。
その結果、自分の記事が自分の意に反していても、著者自身が削除することはできません。
たとえプライバシー侵害のリスクがあっても、自己削除の権限は与えられないのです。
では、なぜ本人の希望で記事を消すことができないのか。それは、ウィキペディアの削除方針が「本人が望むから消す」という基準を持たないからです。
この基準があれば、企業や政治家の不祥事に関する記事も簡単に削除されてしまう可能性があるため、広く適用されている削除基準が遵守されています。
しかし、実際には不祥事に関する情報が削除されることも多く、その矛盾が問題視されています。
この状況は、ウィキペディアの利用者にとって、自分の記事を制御できない不安を生む要因となっています。
まとめ
Wikipediaに記事が掲載されるための条件には、主に「特筆性」が重要視されています。
つまり、その人物が百科事典に記載されるほど重要で注目されるべき存在であることを示す、客観的なエビデンスが必要とされるのです。
具体的には、著名なメディアでの特集記事の掲載や学会での基調講演の実績など、信頼できる情報源での取り上げられ方が評価の対象となります。
単に人気が高いだけでは不十分で、その人物の重要性が広く認められている必要があります。
一方で、Wikipediaへの掲載にはプライバシーの問題も付きまといます。
自分の記事を望んでも、コミュニティの判断で記事が残される可能性があり、個人情報の管理は容易ではありません。
実際、Wikipediaでは、プライバシー侵害やデマの指摘により、掲載記事の削除を求める依頼が絶えません。
しかし、管理者の不足から、迅速な対応が難しいのが実情です。
このように、Wikipediaへの記事掲載には一定の基準と課題が存在します。
自身の記事を希望する場合は、特筆性の確認や個人情報保護の観点から、慎重に検討する必要があるでしょう。