韓国の政治が大きく揺れ動いている。先日、ユン錫悦大統領が突然「非常戒厳」の宣布を発表したのだ。
これは40年以上もの間、韓国で使われていなかった強権的な措置だった。
ユン大統領は、北朝鮮の脅威や「反国家勢力」から国家を守るためだと説明したが、その真意は必ずしも明確ではない。
むしろ、ユン氏自身が政治的に追い詰められているのではないかと指摘されている。
大統領選挙で勝利したものの、その後の総選挙で野党が圧勝。
法案通過など政治的に足かせをはめられる立場に置かれていたユン氏は、汚職疑惑などにも苦しんでいた。
支持率も低下していた。
こうした状況下で、ユン大統領は非常戒厳を宣言したのだが、国民の激しい反発を招き、わずか6時間で撤回に追い込まれた。
突然の出来事に国民もあっと驚いた様子だ。
韓国の民主主義が重大な試練に直面したとの指摘もある。
ユン大統領の政治的生き残りはおろか、韓国の民主主義社会そのものの行方が注目されることになるだろう。
尹錫悦大統領、戒厳令発動の裏に潜む政治的窮地とは?
韓国の尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領が3日夜に「非常戒厳」の宣布を行い、国会議事堂周辺には抗議者が集まりました。
それを受けて国会が迅速に戒厳令の解除を求める決議を行い、大統領は4日朝に戒厳令を解除すると表明しました。
この急展開に、国民は驚きを隠せない状況です。
尹氏は、戒厳令を発動した理由を北朝鮮の脅威や「反国家勢力」から韓国を守るためと説明しましたが、実際の背景には自らの政治的窮地があると言えます。
彼は2022年に保守強硬派の候補として当選し、翌月に大統領に就任。
しかし、今年4月の総選挙で野党が圧勝し、尹氏はレームダック(死に体)状態に陥っています。
この状況下で、国会での法案通過が困難になり、拒否権を行使する以上の手立てを失っているのです。
さらに、尹氏は今年、妻に関する高級ブランドバッグの受領疑惑や株価操作に関連する疑惑など、複数の汚職スキャンダルに直面しています。
その影響で支持率も急落し、17%前後で推移しています。
最近のテレビ出演では謝罪し、妻の職務を監督する事務所の設置を発表しましたが、野党から求められていた捜査には応じていません。
野党は政府の予算案の大幅減額を提案し、大統領夫人に対する捜査を怠ったとして、複数の閣僚や検察幹部に弾劾を提起する動きも見せています。
これらの出来事が今後、尹大統領の政権運営にどのような影響を与えるのか、さらなる注目が集まります。
尹大統領の行動が韓国に与える影響
尹氏による非常戒厳の宣布に、多くの人々は驚きを隠せませんでした。
国民は6時間にわたり、その非常戒厳が何を意味するのかを巡って混乱しました。
しかし、野党は迅速に結集し、与党議員と共に必要な票数を集め、国会としての戒厳解除要求を決議しました。
軍と警察が多数出動していたものの、軍が首都を掌握する事態には至りませんでした。
韓国憲法では、国会が戒厳令の解除要求を決議した場合、政府はそれに応じる義務があります。
また、戒厳司令部が議員を拘束することも禁じられています。
これからの展開や尹氏の今後については不透明ですが、国会前に集まった抗議者からは「尹錫悦を逮捕しろ」という声も上がっています。
今回の出来事は、国民にとって驚きと懸念を引き起こし、民主主義国家としての理想を脅かすものと見られています。
専門家たちは、尹氏の性急な行動が韓国の民主主義に与える影響について、2021年1月6日の米議会議事堂襲撃事件よりも深刻なダメージをもたらす可能性があると警告しています。
梨花大学のレイフ=エリック・イーズリー教授は、尹氏の非常戒厳発表について「法的に無理があり、政治的判断の誤りだった」と分析し、経済や安全保障を不必要に危険にさらすものだと指摘しました。
尹氏はスキャンダルや弾劾要求に対処しようと奮闘していますが、その難局は今後ますます厳しくなると予想されます。
まとめ
韓国のユン錫悦大統領が突然、「非常戒厳」の宣布を発表したことで、国内外から注目を集めている。
この強権的な措置は、40年以上もの間使われていなかったものだ。
ユン大統領は、北朝鮮の脅威や「反国家勢力」への対抗を理由に挙げたが、その背景にはユン氏自身が政治的に追い詰められている事情があるようだ。
大統領選挙で勝利したものの、その後の総選挙で野党が圧勝。
法案通過などで足かせをはめられるレームダック状態に置かれていたユン氏は、さらに夫人をめぐる汚職疑惑などにも苦しんでいた。支持率の低下も深刻化していた。
そうした窮地に追い込まれたユン大統領が、非常戒厳を宣言したが、国民の激しい反発を招き、わずか6時間で撤回に追い込まれた。
このまま先行きは不透明だが、韓国の民主主義社会にとっても重大な試練となる可能性がある。
ユン大統領の政治的生存はおろか、韓国の民主主義の未来が注目されることになりそうだ。